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県内事例から学ぶ生成AI導入効果~AI-OCRとAIエージェントの実装で何が変わったか~を開催しました

 

令和8年2月6日(金)に県内事例から学ぶ生成AI導入効果~AI-OCRとAIエージェントの実装で何が変わったか~を開催しました。

本セミナーは、福井県の「CO-FUKUI未来技術活用プロジェクト」の一環として行われ、実際に生成AI導入の実証実験を行っている県内企業2社(株式会社福地様、ジャパンポリマーク株式会社様)と、技術提供を行うGenX株式会社が登壇しました。

 

開催概要

日 時:令和8年2月6日(金)13:30~ 15:00

会 場:福井県産業情報センター 会議室AB(坂井市丸岡町熊堂3-7-1-16)

講 師:木村 薫 氏(GenX株式会社)

 

 

実施内容

1.CO-FUKUI未来技術活用プロジェクト概要とGenX

 

なぜ今、県が「未来技術」を推進するのか?

 

 冒頭、福井県 未来戦略課の松本氏よりプロジェクトの概要説明がありました。 2024年の北陸新幹線福井開業により、県内は観光面で大きな賑わいを見せています。この効果を持続させ、ビジネス面でも新たなチャレンジを生み出すために発足したのが「CO-FUKUI未来技術活用プロジェクト」です。

行政だけでは解決できない地域課題に対し、先進的な技術を持つ民間企業(スタートアップ等)と県内企業をマッチングさせ、スピーディーに課題解決を図ることを目的としています。今年度は6社が採択され、そのうちの1社が今回のテーマである「生成AI」を手掛けるGenX株式会社です。

 

「思考するAI」を提供するGenX株式会社とは

 

 続いて、GenX株式会社の木村氏より技術紹介が行われました。同社は「Google for Startups」に採択されるなど高い技術力を持つスタートアップです。

一般的なAIツールと異なるのは、単に導入するだけでなく「データ整備」から「伴走型」で支援する点です。特に以下の技術が注目されています。

AI-OCR: 手書きやFAX、崩れた文字でも文脈を理解して高精度に読み取る。

AIエージェント(RAG技術): 社内の膨大なデータ(PDF、Word、Excelなど)をAIに学習させ、自然言語での曖昧な検索を可能にする。

 

2.福地株式会社の事例:30年分のアナログ資産のデジタル化

 創業117年、全国の幼稚園・保育園向け家具を製造する株式会社福地(福井市)。 遠藤社長からは、「30年分の図面データ(紙・PDF・CAD)」の検索効率化への挑戦が語られました。

 

抱えていた課題

• 検索の属人化: 膨大な過去図面は、東日本・西日本担当のベテラン3名の「記憶」に頼って探していた。「緑色のロッカー」といった曖昧な記憶では若手は探せない。

• 繁忙期の残業: 2月・3月の繁忙期は残業が多発。過去の類似製品を素早く探せれば、設計時間を大幅に短縮できるはずだった。

導入の効果と反応

GenX社のAI検索システムを導入し、PDF化された図面や、通常は検索できないCADデータ(.zrd形式)の中身まで検索対象としました。

• 曖昧検索の実現: 「6人用ロッカー」「水族館シリーズ」などと話しかけるように検索すると、AIが「マッチング率 70%」といった形で候補を提示。

• 現場の反応: テスト利用した社員からは「目が輝いていた」「すごい」という声が上がり、フルスペックでの導入を希望する意見が多数。

現在は一部データでの実証段階ですが、今後は「従業員何人分の検索時間を削減できたか」というコスト対効果を検証しつつ、FAX発注書の自動入力などへの応用も検討されています。

 

 

 

2.ジャパンポリマーク株式会社の事例:多国籍な現場で「マニュアル」を効率運用

 アパレルや産業資材向けの熱転写ラベルを製造するジャパンポリマーク株式会社(福井市)。 山本部長からは、「製造現場のマニュアル活用と多言語対応」の事例が紹介されました。

 

抱えていた課題

• マニュアルの乱立: 作業標準書など100種類以上のマニュアルがあり、必要な時にすぐ見つけられない。

• 多言語対応の壁: ベトナム、ウクライナ、タイなど外国人従業員が増加。日本語マニュアルの理解不足による製造ミスのリスクがあった。

導入の効果と反応

現場に23台のタブレットを導入し、AIによるマニュアル検索と自動翻訳システムを構築しました。

• ワンソースで多言語化: 日本語の元ファイル1つから、各国の言語へ自動翻訳・展開。

• 現場での検索: まだ「AIベイビー(よちよち歩き)」の段階としつつも、関連度(%)が表示される検索機能に対し、現場からは「いいね」という反応が得られています。

• 目指す姿: 印刷機1台ごとにタブレットを配置し、ジョブ開始前に必ず注意点を確認することで、「マニュアルを見なかったことに起因する不良損金」の削減を目指しています。

 

 

 3.最後に

 AI導入に対し「自社で本当に効果が出るのか」という不安は尽きません。登壇された両社も、最終的には導入コストが売上や削減効果に見合うか、シビアな評価が必要であると強調されていました。

 しかし、AI活用が企業の必須課題となりつつある今、検討を先送りにすること自体がリスクとなります。 まだ効果が確約できない初期段階だからこそ、国や県の「補助金」を積極的に活用し、金銭的な導入ハードルを下げて挑戦することが重要だと思います。AIは魔法の杖ではありません。まずは信頼できるパートナーと共にスモールスタートを切り、「走りながら効果を検証していく」姿勢で、早めの取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。